10.26事件概要 |
1979年10月26日、ソウル市鍾路区宮井洞の中央情報部(KCIA)所有の「安家(アンガ)」と呼ばれる施設内で、女性も同席して大統領を接待する「大行事」という晩餐会が催された。その最中に、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が金載圭(キム・ジェギュ)中央情報部長に射殺された事件が「10.26」である。 同席していた車智K(チャ・ジチョル)警護室長も金載圭部長によって射殺され、青瓦台(大統領府)警護室員ら5名も金載圭の部下によって射殺された。 金載圭部長らはその日の夜に全斗煥陸軍少将率いる陸軍保安司令部によって逮捕され、1980年5月、絞首刑に処せられている。 18年に及ぶ軍事独裁政権は一夜にして幕を閉じたのである。 ![]() ↑宮井洞安家の事件現場。 屏風の前にある背もたれのある座椅子に朴正煕大統領が腰掛けていた。 手前には、車智K室長が金載圭部長に抵抗を試みて投げた棚が転がっている。 ◆現場にいた人々
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◆10.26事件犯人、及び関連者として逮捕された人物 金載圭・・・中央情報部長。主犯。絞首刑。 朴善浩・・・儀典課長。共犯。絞首刑。 朴興柱・・・現役軍人(大領)、及び部長随行秘書官。共犯。銃殺刑。 金泰元・・・中央情報部食堂警備員。共犯。絞首刑。 李基柱・・・中央情報部食堂警備員。共犯。絞首刑。 柳成玉・・・中央情報部食堂運転士。共犯。絞首刑。 金桂元・・・大統領府秘書室長。現場にいたため、金載圭との共犯容疑。 鄭昇和・・・陸軍参謀総長。金載圭によって宮井洞に呼び出された事から共犯容疑。 金正燮・・・中央情報部第二次長補。 他、中央情報部員、縁故者など多数が次々と逮捕連行された。 ◆10.26事件で殺害された人物 朴正熙・・・大統領。金載圭によって頭部、胸部に被弾。 車智K・・・警護室長。金載圭によって腹部等に被弾。 鄭仁炯・・・警護処長。朴善浩によって殺害。 安載松・・・警護副処長。朴善浩によって殺害。 金容太・・・警護員。 金纖ラ・・・警護員。 ◆射殺犯・金載圭の大統領殺害動機 ★★…かなり有力とされている動機 ★…一部で有力視されている動機 ☆…一部ではっきりと否定された動機 一.金載圭、及び弁護人の主張 1.民主主義回復のための革命 二.合同捜査本部による取り調べの結果 1.車智K警護室長の越権行為に対する不満 2.大統領からの叱責、中央情報部長更迭への惧れ 三.軍事法廷で下された判決 1.内乱目的殺人☆ 事件の調査をした白東林が、後になって「10.26は単純殺人事件」と明言した。 四.一般的評価 1.車智Kに対する怨恨★★ 金載圭は日頃から車智Kに対する悪口が絶えず、「殺す」とまで発言していた。 2.民主主義回復のため★ 金載圭は周囲から正義感の強い人物という評価を受けていた。 3.金載圭の病(肝硬変)によるストレス★★ 医者から2〜3年の命と宣告されていたという説がある。 4.大統領に対する不満 大統領令嬢のセマウム奉仕団関連調査で、朴正熙との関係が悪化。 5.アメリカ関与説☆ 反米主義の朴正熙を排除しようという米国の意思が働いたという説。 6.金載圭精神病説☆ 怒ると暴力行為に出ることから、情緒不安定であるとする見方。 |
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