◆車智�K氏の異母弟、ニューヨークで被殺

　維新末期、大統領府警護室長として１９７９年の１０．２６事件の時、朴正煕大統領と共に死亡した車智�K（チャ・ジチョル）氏の 異母弟・車サンチョル氏（５１）が、米国ニューヨークで殺害された。車氏は、去る２日、自身が運営するニューヨーク市ブルックリンジャクソンアベニューの大林建設地下作業場で首を切られた状態で発見された。
　ニューヨーク警察は 車氏が無惨に殺害された上、盗難品が無い点などから、怨恨による殺人と見ており、周辺住民の証言と司法解剖結果を元に、車氏は先月３０日午後６時頃殺されたものと推定している。
　警察によると、車氏はここ数日の間姿が見えず、これを不審に思った近所の住民の通報を受けて、２日午前に現場に到着したところ、１０坪程の地下作業場の床に車氏が両側の耳付近まで切り裂かれた状態で死亡していたという。
　警察が現場を調査した結果、犯人が１階駐車場の中へ入って車氏の後頭部を凶器で殴った後、地下へ運んで殺害 したと見ている。
　車智�K氏の５人兄妹中末っ子の車氏は、韓国でレンタカー事業をしていたが、１０．２６事件が起こるとすぐに単身渡米、８７年からは大林建設という木工所を運営していた。車氏の夫人（４７）と１男１女など家族は、現在ソウル市江南区で生活しており１５年間一度も互いに行き来していなかったことが明らかになった。
　車氏の葬儀は１７日、姉や知人らが参加した中で行われ、遺体は２１日に飛行機で韓国に運ばれる。

［中央日報：１９９４年１１月１９日］

◆金泳三大統領、養老院で生活する車智�K氏の母と遭遇

　金泳三大統領は１１日、秋夕（旧盆）連休前に、孫命順と共に京畿道河南市豊山洞 「永楽老人福祉センター」を訪問し、不遇な老人たちを慰労した。
　金大統領は、病気療養中のおじいさん、おばあさん等の手を取って、一人一人に年齢や容態などを尋ねた。
　その中に、朴正煕元大統領が殺害された７９年の１０．２６事件当時亡くなった車智�K元大統領警護室長の母親・金大安（キム・デアン）おばあさんもいた。金大統領は、今年１０１歳（戸籍上）の金おばあさんが故・車智�K氏の母親だという林鍾洛院長の説明を聞いて、「そう言われてみると、よく似ていらっしゃいます」と言って、「お元気ですか」と挨拶をした。
　金おばあさんがそこに入ったのは去る９２年のことである。１０．２６以後、世間の視線を浴びて娘と息子の嫁が皆、渡米した後、金おばあさんはソウル蚕室の小さなアパートで一人暮らしをしていた。こういった事情を、福祉センターを運営する永楽教会韓景職牧師が聞いて金おばあさんを紹介した。
　娘が２年前に、こちらを初めて訪ねて来たことはあるが、普段は連絡を断っていると福祉センター 関係者が伝えた。
　国内には誰も親戚がなく、侘びしい生活をする金おばあさんには、７０年代、警護室に勤めた人々が時々 尋ねて来て息子の思い出に浸るのが唯一の楽しみだという。

［中央日報：１９９７年９月１３日］

老母・金大安の誕生日を祝う車智�K。
右端は車智�Kの長女・車保慶らしい。

◆車智�K氏の老母、「恨（ハン）多い生」１０１年を終える

　車智�K元青瓦台警護室長の老母・金大安おばあさんが２３日、京畿道河南市永楽老人福祉センター養老院で‘恨（ハン）多い生’を一人寂しく締め括った。
　今年１０１才の金氏は９５年から老衰のため、ほとんど身動きできず、ボランティアの介護を受けてきたが、２年前からは食べることも困難なほどに病状が悪化していたと洪在成福祉センター副院長は伝えた。
　金氏は８１年息子の嫁と孫娘３人が米国へ出発してからソウル市松坡区の７００万ウォンの借家で一人暮らしをした後、９１年８月この養老院に移った。
　一人息子の車元室長には３人の娘がいたが、長女が早く亡くなり、残りの二人も渡米してしまった。養老院に移る前までは車元室長と高校同窓の張致赫高合グループ会長が生活費を代わりに出していて、最近までは車元室長のかつての警護室部下職員らが大統領府警護室に助けを要請し毎月５０万ウォンの 看護費を受入れたことが知らされた。
　金氏の病状が悪化すると、過去の警護室職員らが家族を捜所聞をしたが、米国にいた嫁は２年前に死亡したことが確認され、孫娘らは来るという返事がなかったという。 残る娘の内、次女は２５日午後遅く喪家に到着したが、三女は健康悪化のため帰国できなかった。
　喪家には朴正煕大統領当時、車元室長の下で警護室次長補を務めた全斗煥元大統領が秘書を通じて花輪を送っただけで弔問客の足取りは静かだった。告別式は２６日午前９時。金氏はここの公園墓地に埋められた息子のそばに‘孤独な体’を横たえる。

［東亜日報：１９９８年１２月１５日］