宮井洞事件目撃者・沈守峰と申才順

宮井洞事件目撃者である申才順(後姿左)と沈守峰

 10.26朴正煕大統領射殺事件現場を目撃した人物で現在生存しているのは、金桂元(キム・ゲウォン)元秘書室長の他に、酌婦として晩餐会場に招待された二人の女性である。一人は歌手の沈守峰(シム・スボン)、もう一人はモデルで女子大生の申才順(シン・ジェスン)。
 二人は、事件後、重要な目撃証言者として10.26裁判に引っ張り出された。当時、彼女達の素顔は隠され、名前もそれぞれ孫今子(ソン・クムジャ)、鄭惠仙(チョン・ヘソン)という似ても似つかぬ仮名に置き換えられいた。しかし、巷間では彼女達の正体を暴こうと様々な情報や憶測が飛び交った。実際、歌手の沈守峰の方は、有名人だったこともあってすぐに正体が明かされたようだ。10.26直後、日本の週刊誌でも二人の酌婦の正体に触れる記事が登場する。日本で最初にスッパ抜いたのはTBSとサンケイ新聞だという。これに関した詳しい記事が「週間ポスト」に登場する。記事のタイトルは「公表された朴大統領射殺事件の真相と同席していた『ふたりの女』の役割」。ここには沈守峰の顔写真と、もう一人、金英蘭という名で女性の顔写真が掲載されている。この女性が申才順自身を指しているのかははっきりしない。

 しかし、いずれにしても沈守峰と申才順の素顔は暴かれ、宮井洞での彼女達の役割も、やもめの朴正煕大統領を慰労するためである事が発覚した。この事件を機に運命を大きく翻弄された二人の女性はそれぞれに苦悩の道を歩む事になる。

 そんな二人が、1994年に回顧録を出版した。まず申才順が「そこに彼女がいたよ」を出版、それに対抗するかのように続けて、沈守峰が「愛以外には私は知らない」を出した。

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