金濟亨弁護士：歴史的裁判を始めるに当たって、金載圭被告人弁護団としての意見を申し上げます。この事件は、全国民はもちろんの事、世界的な関心を集めるほどに極めて重大なものであります。この裁判で明るみになる、あらゆる事実は、今後我が国の歴史に重大な影響を及ぼす事になるでしょう。従って、この事件は歴史の審判、国民の審判によってのみ委ねられなければなりません。法の制度上、やむを得ず実定法によって裁かなければならないのであるなら、誠実な進行で、疑惑は解いておかなければなりません。概ね裁判とは、その結果が公明正大でなければならないのですが、これから先の裁判手続が、合法的に進められたものであるか否かも重要な問題であります。是非とも、一点の恥じらいもなく進行される事をお願い申し上げるのであります。
金正斗弁護士：金載圭被告人らは１９７９年１１月２６日に起訴されて、訴訟が戒厳普通軍法会議に提起されております。何より、この戒厳軍法会議の設置について根拠となる大統領権限代行の非常戒厳宣布とは、国家非常事態に対処する大統領固有の権限であります。憲法第２４条２項にも規定がある。軍法会議の民間人に対する裁判権というものは、２４条２項に真っ向から背いております。このような理由で“軍法会議の裁判権についての法律”第２４条２項によって、裁判前にこれに対する裁判申請を提起します。大法院決定がなされるまでこの裁判を中止して下さい。

検察官：この事件が歴史と国民の審判を受けなければならない点について異議はありませんが、そのように固執する事は、この事件を“革命”に持っていこうという思惑に他なりません。戒厳令は司法審査の対象にはならないという大法院の判例にもあります。また、この裁判はどのみち三審まで経て大法院（※最高裁）まで行くべきであり、従って軍事裁判であるか一般の裁判であるかという意味を正す事には格別な意味がありません。